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酒の異名
 

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酒には何と多くの異名があるのでしょう。その数の多いのに驚かされます。気のついたものを並べてみます。

 

○酒の美称

神酒・御酒(みき) (三寸、三木、三季とも書く。「み」は美称の接頭語で、「き」は食べ物で、「神様の食べ物」の意味です。)
御酒(ごしゅ) 飲む人やくれた人を敬って、その酒を丁寧にいう語
豊御酒(とよみき)
祝(い)の水 (養老の滝の故事の「岩井の水」から)めでたい酒、特に婚礼の酒

○漢字から

水鳥(すいちょう)(字が「水(さんずい)」と「酉(とり)」とからできているので)
水辺の鳥(すいへんのとり)(「酒」の字が、さんずい偏に酉(とり)であることから)
日読みの酉(とり) (「酒」の字の旁(つくり)から)(「日読み」は暦で、空を飛ぶ「鳥」でなく暦で使われる酉という意味です)
酉水(ゆうすい)

○褒め言葉

百薬の長 酒をほめたたえていう語(ほどほどでさえあれば)
歓伯(かんぱく、かんばく)
掃愁帚(そうしゅうそう)(胸中の愁いをはらうほうきの意)
玉箒(たまばはき、たまははき、たまばわき)(悩みや心配を掃き払うことから)
たまぼうき
美禄、天の美禄 (漢書(食貨志)「酒者天之美禄」)
忘憂  陶潜(飲酒詩)
甘露、客談、花露、紅友、神聖者(賢者はにごり酒だそうです)、瑞露(中国の詩人は多くの異名を創作しており、漢詩は酒の異名の宝庫です)
聖(ひじり、せい)、聖人(賢人はにごり酒)(神聖者から)
清御酒(きよみき)
その他ー海老、富水、硯水、瑞露、雲泉、清州、白玉、東西、大乗水、玉液、六君、香馬、馬乳、杏村、玉蛆、盃宇、郎官、温清、南岸、北岸、上岸、下岸、玉友、紅面、紅明、香泉、若村、嬌碧、真一、舜泉、喜金、清重、魯温、社囲、金時、松花、玉露、君下、玉脂、蘭生、垂碧、瑶泉、紫潭、酌君、盃中物、若水揶、瑞露珍、麹李才(日本酒センター)

○けなし言葉

狂薬
きちがいみず
魔水

○公家、女房詞

おこん、くこん、おっこん(公家言葉)
く文字〔女房詞〕(「くこん(九献)」の文字詞、直接その名前をいわず○文字というのは女房詞で、「い文字」だといかのこと、「に文字」だとにんにくのことです)
九献(くこん)(酒を三杯ずつ、三度さすこと。三三九度。)(もと女房詞)
ささ (もと女房詞。「さけ」の「さ」を重ねた語とも、酒を勧めるときに「ささ」というからとも、酒を中国で「竹葉」ということからともいう、また、「とり」を「とと」というように「さけ」を「ささ」といった小児語が女性言葉になったという大槻文彦説もあります)
笹の露〔酒を「ささ」ともいうことから〕酒、また、少量の酒

○酒の色

山吹 〔中世女性語〕
緑酒 酒の美称(漢詩から)

○伝説から

儀狄(ぎてき)(中国の伝説上の人物。夏(か)のとき、初めて酒を造ったとされる)

○寺での隠語

唐茶(とうちゃ) 主に僧の間で使った、酒の隠語
般若、般若湯(般若はパーリ語のパンニャを音訳したもので、「知恵」という意味で、知恵のつく水の意味です)(寺での隠語で、天蓋はたこ、踊り子はどじょう、といったものもあります)
大乗の茶

○寺以外の隠語

馬力−相撲
いさみ、おいさみ、なりご(羽黒山)、ごまず、やぶむぐり、ごまのはい(大峰山)−修行者の山言葉
けずり(けんずい)−近世の大工
せんぽう−東国

○地名

下若(かじゃく)中国、浙江(せっこう)省長興県にある地で、名酒の産地。また、酒の異名。シアルオ
上若 (唐の国に、上若(かみわか)、中若、下若の三村があった。この三村を流れている河は上流の上若村の水は水ではなく最上の美酒であり、中若のはやや劣るがやはりなかなかの美酒である。しかし、下若村のは唯の水でさっぱり酔わない。だがこの水で造った酒は最極上々の美酒でどこの酒にも負けない。これより、酒のことを上若、下若と呼ぶようになった。)(芝田喜三代)
伊丹

○食習慣から

間水・硯水・建水(けんずい)(二食の時代の朝食と夜食の間の軽い食事)

○酔った様子から

赤ら(飲めば顔が赤くなるところから)(四方赤良よものあからからという説もある)
くし (不思議な飲み物だから)
かすみ(霞に朝焼け、夕焼けという意味があるのでそれからか。中国でもそう言ったという)

○山言葉

わか(秋田県北秋田郡)(わかは、アイヌ語で水の意味)
まわっか(秋田県北秋田郡阿仁町)
きよわか(東北地方)
いさみ(福島県南会津郡伊北村)
なさし(新潟県南魚沼郡)
うでぁ(新潟県岩船郡朝日村)

○中国の竹葉(酒のこと)から

竹葉(ちくよう)
竹の葉(「竹葉(ちくよう)」の訓読み)
竹葉青(ちくようせい、紹興酒の3年ものをその色からこういうという説があります)
竹葉清

○擬人法

道傍麹先生(どうぼうきくせんせい)
破門将軍
羅浮君

○その他

き、け
正宗(桜正宗が元祖)
清み酒
万八
三輪(三輪神社から)
玄水
左(左利き、左党からで、「のみを持つ左手」が「飲み手」で「左利き」となりました)
柳(酒を入れた柳樽から)
三遅(さんち)(酒宴に遅刻すること。着席の時を杯の五巡以後、七巡以後、十巡以後の三段階に分ち、それぞれに杯数の異なる罰杯を科した。)

 

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