9月11日に起きたアメリカの同時多発テロと、その報復として行われたアフガニスタン攻撃により、タンカーが航行するインド洋などの海域が危険視され原油輸入時のタンカー運賃と保険料が高騰しました。石油会社が原油を輸入する場合には、そのときの国際情勢などに応じて運賃が設定されます。大手元売りによると「実質的には船会社の言い値=vだそうです。
 テロ発生後にタンカー運賃が上昇しました。特に報復の影響を間接的に受けそうな中東関連の運賃が上昇しました。最大手の日石三菱の場合、テロ前は平均で1バレル当り1.1ドルでしたが、テロ後は1.7ドルというように、約5割増しに跳ね上がりました。
 上昇幅は原油1リットル当たり約0.45円に相当するので、ガソリンや灯油のコスト上昇につながります。日本は中東からの原油輸入が約9割を占めているので、各社とも運賃上昇に悩まされています。
 コスモ石油ではカーゴ保険料は通常は年間1億5千万円で済みますが、1990年の湾岸危機時は年間40億円に跳ね上がりました。
 これらのことは株価の推移からも読み取れ、同時多発テロが起きた9月には各社とも軒並み株価が下落し、日石三菱では100円近く株価が下落した。
10月8日にアフガニスタンへの報復攻撃が始まった直後は株価はさらに下落しましたが、9月下旬からの不測の事態に備えた国内在庫量上積みの対策の効果か、思った以上に下落しませんでした。
11月に入ってからは、各社の中間決算での利益の減少(コスモ石油は連結の当期利益で約2億円の赤字)や航空業界の大打撃が影響したのか株価が下落の一途をたどりました。
12月に入ってからは、アメリカの大手エネルギー会社のエンロン社が破綻をした影響やイスラエルとパレスチナの紛争の影響を受けてか、コスモ石油とジャパンエナジーでは今年の最安値を更新しました。
 これからさらに日本経済は失業率の増加や企業倒産などで不況が続くことが予想されます。そうなるとエネルギー消費量はさらに落ち込み、石油業界も業績が悪化し、株価は下がっていくと思います。

 円高になると株価は下がり、円安になると株価が上がる。
 11月12日あたりから円安の傾向にあるため、日石三菱、ジャパンエナジー、コスモ石油の株価は下落の方向にある。そして、12月に入っても回復の見込みがない。
 終値が下がると出来高が上がる。
 9月21日の終値が急激に下がったとき、出来高が伸びている。
 11月13日から終値が下がり始めているため、出来高が上がり始めていて、12月4日に急激に伸びた。
 ジャパンエナジーでは9月3日から終値が下がり始めている。9月3日と12月7日を比べると終値は100円近く下がった。 
 出来高は9月11日と10月17日と11月12日あたりに急激に増加している。
 コスモ石油はジャパンエナジーと同じく9月と12月の間で100円近く終値が下がっている。
 9月28日あたりから10月25日あたりまで出来高が下がっていたが、その後は、終値が下がるにつれ、出来高が上がりはじめた。

石油業界についての考察